___全体会議の日を迎えた。
両手に持てるだけの荷物を手にし、副社長よりも先に出勤する。
「俺が車で持っていく」と言ってくれた副社長に「ダメダメ、一緒に住んでいるなんて知られちゃ困るでしょ」と断り、ヨタヨタとおぼつかない足取りで部屋を出る私を、心配そうに見送ってくれた副社長の顔が忘れられない。
社に到着すれば、私の荷物に気付いた佳乃が駆け寄って来た。
「今日の会議に使うものだ」と告げると、佳乃は近くを通りかかった日高主任を捕まえ「会議室まで運ぶのを手伝ってほしい」と頼んだのだ。
なにも日高主任を捕まえなくても、とハラハラしていたが。
渋々荷物を持ってくれた日高主任は「佳乃の頼みじゃ断れないな」と口にすると、佳乃は私に向かい軽くウインクした。
不思議に思い首を傾げると「付き合ってるの、先月位からかな」なんて、軽く教えられ。
私は「えぇ⁉」と独り大声をあげ驚いてしまった。
あの揚げ足取りの日高主任だよ?
「いい印象がないのに、どうして……」と思ったが、佳乃曰く「社内と社外では全然違うの。ギャップにやられた」なんて、はにかみながら教えてくれた。
ふと、頭に副社長の顔が浮かぶ。
きっと佳乃も、最初に私が副社長に持っていたような印象を日高主任に目の前でひっくり返されたのかも、と思ったのだ。



