・キミ以外欲しくない


周囲が聞けば、本当の恋人同士のような会話。

二人で相談しがら、カーテンやラグ等が決まっていく。
小さな小物ひとつでも、じっくりと話し合って。

まるで、バラバラのピースを合わせるように。

時には意見が違ったり、ケンカしながらでも。
胸をときめかせながら、二人で過ごす時間が愛おしくて。
「こうした、あたり前なことが嬉しい」と感じ、副社長を何気なく見つめた。


高価で素敵な物に囲まれていることも、理想だけれど。
やっぱり、お気に入りのものに囲まれて暮らすことが、日々の幸せだと思う。

願わくば、好きな人と……。


「ん?」

「いえ、仕事頑張ります」


視線に気づいた副社長は小首をかしげ私を見つめ返すから。
そんな風に見つめられたら、恥ずかしくて。
思っていたこととは違う台詞を吐き、営業スマイルをしてしまった。

副社長がこんなに良くしてくれるのだから、その期待に応えたい。
その気持ちに嘘はない。


「そうだな、雪乃の案を採用したのは俺の一存だし。成功させてくれないと困る」

「え?」


副社長の言葉に、息が止まりそうになった。
同時に、上司からこの仕事を聞いた時「この案を採用しようと決めたのは、何処のどいつだよ」と、心の中で突っ込みを入れたことを思い出した。


『何処のどいつ』は、副社長だったのか!