・キミ以外欲しくない


大型の家具店には、ちょっとした雑貨なども揃えられていて。
着いた早々、テンションが上がった私は次々に商品を見て回る。
その後をついて回ってくれている副社長は、時折苦笑いを浮かべていたけれど。

「雪乃、これは?」なんて商品を手に取っては、私に見せる。
すると「うん、素敵!」と、予想通りの反応をしてしまう私を笑った。

気付けば、私を「雪乃」と自然に呼ぶ副社長を相手に、何の違和感もなく普通に答えている自分がいる。


今までずっと、副社長を見た目だけで判断していた頃の私とは、違った感情が芽生えているからだ。

冷たい人だろうと思っていたのに、全然冷たくなくて。
むしろ、優し過ぎてビックリするくらいだし。

人を顎で使う様な人なんだろうな。と思っていたのに、そんなことは全く無くて。
逆に気を使ってくれるし、先回りしてくれたりするような繊細な人で。

思っていた人物像とは真逆のような自然体の人だったから。
ヘンに構えることも無く、居心地が良くて安心できてしまう。


「このクッションはどうかなぁ?」

「うーん、雪乃の部屋にならいいんじゃない? 買えば?」

「買っちゃおうかなぁ、じゃあ真司郎さんの部屋には、こっちで」

「えっ、俺のも?」

「少しくらい、色違いの物とかを揃えてもいいと思うなぁ」

「あー。はいはい」