・キミ以外欲しくない

「あ、そっか。そうですね」

「本物は、そのうち買ってやるから。今日のところは我慢しろ」

「分かりました。……えぇっ?」


自然の流れで、思わず返事をしてしまったけれど。
今、副社長は何と言った?
「そのうち買ってやる」って、指輪を?
なにそれ、どういう意味なの?


混乱している私を前に、ふふっと笑った副社長は、私の手を取り「行こう」と玄関へ向かった。


マンションのエントランスで待つように言われ、正面玄関に副社長の愛車が横付けされる。
助手席のドアを開けられ乗り込むと、運転席にいる副社長が私を見つめた。
ドキンと胸が跳ねたけれど、そんな私に気づく事無く「どの店からまわる?」と尋ねられ、持っていたショップリストを広げた。


「えっと、ここから一番近いのは『フェアリー』さんですね」

「遠い店は?」

「『A-shop』さんです」

「そっちからだな。朝で道が空いている時間に、行ける所まで行っとこう」


「近場は仕事帰りでも寄れるし」なんてサラリと言われると、仕事終わりのデートを連想してしまう。

あり得ない。
退社は別々に、とのルールがあるのだから期待しちゃダメ。と言い聞かせ前を向くと、副社長の運転する車がゆっくりと走り出した。