・キミ以外欲しくない



「それでは、この先のスケジュールを確認したいと思います」


正面のホワイトボードには、大きな文字で『西本案スケジュール』と記入されている。

これから始まるのは、女性客をターゲットとしたマンションに特別装備する予定の設備設定や、実際にモデルルームで使用する壁紙や家具などの採用決定や配置に加え、仕事依頼する関係会社の選出なども予定されていた。


「コストは出来るだけ抑え気味に。しかし最低限の設備は今迄のマンションと同等価値の設備を標準装備にしたままで、女性に気に入ってもらえる特別なプランを組み込む。これが、今回採用された案です」


ホワイトボード前の上座に、副社長と並んで座っていた議長担当者が説明をすると、黙って企画案に目を通していた副社長が出口付近に座っていた私に目を向けた。


「ここに記されている【特別】とは、例えばどんなことだ?」


突然話を振られ、ガタッと音を立て椅子から立ち上がり。
用意していた資料を慌てながら手あたり次第に開き、副社長に向かって答える。


「はい、例えばですが。各部屋の壁紙はマンションを購入されたお客様の好きなように、自由にお選びいただくことができますが。ご気分が変わった際は、張り替えサービスが受けられるとか。結婚して家族が増えたら、お部屋の間取りを変更できるようにとかですね……」