外に出れば、夏の季節に近いということで太陽の日差しは、じりじりと肌を焼いていく。彼女は、そろそろ日焼け止めを塗らないと…と太陽の日差しを感じながらそんなことを思っていた。

何故、彼女がこんな朝早くに学校へと向かう理由は、朝練があるためだ。彼女、雫は弓道部に所属している。その腕前は、選手の候補として取り上げられるほどの実力者だ。

そして、意外にも学校から近い場所に住んでいるということで自転車通学は必要ないのだ。雫にとって、部活動は何よりも楽しみなことだ。彼女は、心のワクワク感を感じながら学校へと向かうのだった。

学校に着くなり、雫は弓道場に向かう。すぐ、更衣室に入って弓道衣に着替えまた、髪の毛はポニーテールに仕上げ、的のある場所へと向かう。扉を開ければ、まだ誰もいなかった。それもそうだろう。朝練するのに、まだ早い時間帯なのだから。

雫は、先輩達がすぐ練習が出来るように弓道の道具を準備する。常識のように、後輩が準備するのは当たり前だと思う。準備が終わるのに、どれくらい掛かっただろうか。

流石に、雫1人で準備するのには時間が掛かってしまった。ふぅ〜…と雫が息を吐き出した時に、弓道場の扉がゆっくりと開く。そこには、黒のショートで灰色の眼鏡がよく似合う、弓道部の部長…奥谷 俊一(おきたに しゅんいち)の姿があった。

雫は、俊一の方を見て笑顔で挨拶をし、頭を下げる。

「奥谷先輩、おはようございます!」

「おぅ、おはよ。相変わらず、早いな柊沢は…」

俊一も笑顔に答えて、彼女が早く部活に来てくれることに関心を持つ。俊一の弓道衣の姿はよく似合う。俊一は、準備してくれた雫に、サンキューとお礼を言ってから、自分の弓を持ち、早速、遠くにある的の方に向く。