君の見ている世界は

冷房のかかった教室をでて、蒸し暑い廊下を歩く。

たわいない話をしながら1階に向かっていると、廊下の1番端にある、三学年全員がつかう階段は相当渋滞していた。

人と人の隙間にはいって、どうにか下に降りようとするが、前後左右、数cmの距離で人がいる。
全然進まない。人口密度めっちゃ高い。暑い。

と、いらいらしている私の前を通る1年生の男の子達が、大声で夏休みの遊ぶ日程を話している声が聞こえた。
隙間からみえた彼らは、みんな生き生きしていた。

そんな姿を見ると、私にもあんな時期があったんだなあ、としみじみ思う。ほんとにあったのか?と、思ってしまうが、多分あった。

2年前のわたしは、2年後、夏休みを迎えるのがこんなに憂鬱になるとは思ってもいないだろう。

長い渋滞をぬけて、先に1階に着いていた希歩と合流して、靴箱に行く。

ぱか、と靴箱を開ける。

そういえば、中1のころは少女漫画みたいに靴箱開けたらラブレターとか入ってないかな、と柄にもなく想像していたのを思い出す。
まあそんなことはただの夢物語だったのだが。

少し自虐的な気持ちになりながら、外ばきに履き替えて学校を出た。