春。
心地よい風と淡いピンク色の桜。
雲一つない快晴の空に、暖かい陽気。
そして__、新入生勧誘の先輩たち!!!!
その中に混じりあう、声声声声!!
やっぱ、いいわ~。こうでなくっちゃ!
そんな感じで、春を満喫している彩夏のところに、すごい剣幕の幼馴染がやってきた。
「彩夏!何やってんのよ!早く1年生にビラ配っちゃって、興味のありそうな子には名前聞いといてよね!」
「わかってるよ~。明日香はそういうとこ厳しいんだから~、そんな顔してると後輩たち怖がっちゃうよ~。」
「って、誰のせいよ!!私は経験者の名簿に載ってるこのとこ回ってるから、こっちは頼んだよ!」
そう言って、明日香は急いで自分の持ち場について、勧誘の続きをしていた。彩夏も負けじとやろうとしたが、このご時世に合唱部に入りたいという生徒自体少なく、合唱業界は若い人材が少なくなりつつある。うちの高校でも人数がどんどん減っていて、このままだとコンクールもギリギリの人数で出場することになる。
そうなると、大人数の私立高校に負けてしまう…。そのため今の合唱部は必死になって部員を集めているのだ。
そう考えると、明日香の必死な顔も当然のように思えた。

よしっ!私も頑張って部員勧誘しなきゃ!
「合唱部に入って、一緒に歌いませんかー!」
「合唱部!合唱部でーす!」
彩夏は、必死に勧誘を続けた。声の出る限り、ずっと…。