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ビンゴ大会も終了し、社長の閉会の挨拶も無事に済み、約二時間の忘年会は幕を閉じた。
飾り付けに使った小物を外したり、ビンゴカードの余りを回収したりと後片付けを済ませて、企画開発部は解散になる。
高橋さんは日下部さんに捕まり、担当ではないのに後片付けをさせられている。
片付けを済ませて、宴会場を出ようとしたら日下部さんがしおらしくお願いをしてきた。
私はメンバーに入ってないけど!
「杉野と高橋、30分だけでもいいから付き合って。もちろん奢ります」
「高橋君と渋谷の青色のイルミ見に行く約束してたのに!」
「そうですよ、邪魔しないで下さい!」
お願いしてきたのには訳がある。
女子社員達が「日下部部長と二次会作戦」と言って、エントランスで待っているらしい。
重役との二次会も片付けを理由に上手く交わしたのに、女子社員の二次会に捕まったら、元も子も無いから焦っている。
「じゃあせめて、ホテル出るまでかくまって」
「フロント前を通らずに帰ればいいと思います」
綾美がそう言うとあっさり「そうか、よく考えたらそうだな」と納得した様子だった。
私達はフロント前を通らない様に、コンビニと繋がっているドアから出る事にした。
女子社員には気付かれずに済んだ様だった。
駅に着くと綾美達とは別れ、日下部さんと二人になった。
『渋谷のイルミネーションを一緒に見に行く?』と綾美から誘われ、高橋さんの邪魔はしちゃいけないと思い断ったのはいいのだけれど・・・自然と二人きりになってしまうのは必然だった。
見に行かないにしても一緒に電車に乗って途中下車すれば良かった。
「わ、私はもう帰りますので!」
「送っていく。もう遅いから」
逃げるが勝ちと思い、駅のホームに向かおうとすると左腕を掴まれた。