糖度高めな秘密の密会はいかが?

「はい、ここ座りなよ。直接座るよりもマシだから。PCは抜いたから安心して」

資料だらけのビジネスバッグを真横に置き、座布団代わりにして良いからとポンポンと叩く。

私が座るのを躊躇していると、左腕を引っ張られ体制を崩して日下部さんの方向へ倒れ込む。

「…きゃっ」
「…いたっ…」

倒れ込んだ瞬間、日下部さんを押し倒す形になってしまった。

さっきから何なの、この状況!?

予期せぬ出来事の連続に心臓が破裂しそうな位にバクバクと音を立てていて、日下部さんに聞こえてしまいそう───・・・・・・

「…襲う気?」

「ち、違います!つまづいただけっ」

私はそそくさと体制を直し、ビジネスバッグを座布団代わりにする事にした。

「…日下部さんの馬鹿」

体育座りをして、ひざに顔をうずめてつぶやく。

「いつもはガミガミうるさくて鬱陶しいのに、何で今日はそんなに優しいの?…」

エレベーターに閉じ込められた上に、日下部さんの行動も想定外で、私の脳内はパニック寸前で・・・
目から涙が溢れて、ヒザの隙間から床に零れ落ちる。