糖度高めな秘密の密会はいかが?

日下部さんに上から見下ろされた私は目のやり場がなくて、唇を噛んで俯く。

日下部さんの顔が近づいてきて、壁際に追い詰められた私は為す術もなく、バッグを胸の前で握りしめて目を強くつむる。

日下部さんの唇が耳に微かに触れた。

私の身体は反応して、こわばる。

「……なーんて、嘘。俺にだって、理性はありますから女の子の日の秋葉を襲うほど、飢えてません!」

微かに吐息が耳にかかったと同時に、小声で冗談混じりにからかう。

からかわれただけなのに、その距離はとても近くて、鼓動が早くなるばかりで一向におさまらない。

「…怖いの落ち着いたでしょ?一時間なんてあっという間だから座って待ってればいいじゃん」

私の気も知らないで、この男はエレベーター内の床に座り込んだ。

二人きりのエレベーターの密室の中、冗談でもこんな事されたらドキドキしない方がおかしい。

知らない人だったら怖いだけの感情しか湧かないが、日下部さんにされたら脳内の回路が誤作動起こしそう。

何故だか、変に意識してしまう自分が居て戸惑う。