糖度高めな秘密の密会はいかが?

会長ご夫妻と有澄が口論している間に私と日下部さんが話をしていたのだけれど、その様子を見ていた社長が気にかける。

余計な詮索される様な爆弾発言をしないで下さい!

「同期入社だから友達みたいなものです」

「そうね、同期だったわね。それにしても同期って懐かしい響きだわ」

日下部さんの一言で丸く収まった様で、胸を撫で下ろした。

私が気付かなかっただけで、日下部さんって分かりやすい人なのかな?

社長にも怪しまれていたとは・・・。

私にも反省すべき点はあると思う。

何気なく取っていた行動や言動が思わせぶりな態度に見られていて、他人にも勘違いをされているのかもしれない。

私は今まで通りに接したいけれど、日下部さんにとってはどうなんだろう。

「そろそろ、口直しをお持ちしましょうか…?」

しばしの歓談が続き、料理も食べ尽くした頃に染野さんがニコニコしながら食器を下げに入って来た。

相良さんもお手伝いしているので私も立とうとしたら、染野さんが「ゆかりさんはお客様なんですから座っていて下さい」と止めに入る。

「いや、でも…」

自分の実家では、食べ終わった食器類は自分で下げるのが決まりだからか、人様に下げてもらう事には慣れてない。

お手伝いさんがいるお家は下げなくても良いのかな?・・・でも、なんだか落ち着かない。

「ごちそうさまでした。すみません…」

「いえいえ、染野にお任せ下さい!お客様に運ばせたら、奥様に怒られちゃいますから。それじゃなくてもお料理をお手伝いいただいて…」

頑なに下げる事を拒否されたので、黙って座っていることにした。

食器が下げ終わり、食事に和菓子と緑茶が運ばれた。