糖度高めな秘密の密会はいかが?

恥を偲んで話してくれたんだから、今更、二日酔いだったとは言えないなぁ・・・。

日下部さん、今は優しく接してくれているけれど、私が昨日の夜に出かけた事を忘れてるのかな・・・機嫌が悪かったのは謎のまま。

「辛いんだったら、明日は休んでいいから。どうするかは明日の朝に連絡くれればいーよ」

ノートパソコンの電源を切り、フタを閉じて帰る準備をしながら話す日下部さん。

「日下部さんが優し過ぎて、会社に隕石でも落ちてきそうです…」

そんな姿を横目で見ながら私は答えた。

この後15分後に隕石が落ちる程ではないが、二人に不幸が訪れようとしているのは、今はまだ想像もしなかった───・・・・・・

「…俺は元々、優しいのっ。皆から慕われる良き上司を目指しています」

自分で言いながら笑っている日下部さんは、完全に仕事はオフモードだった。

19時過ぎに会議室から企画開発部に移動すると私と日下部さんの二人しか残って居なかった。

日下部さんも一緒に帰るとの事で、一緒にエレベーターに乗り、一階まで下降して止まったのだが・・・

降りようとしても扉が開かない。

開くボタンを押したり、他の階のボタンを押して試して見たが、開く気配はなく、閉まったままだった。