6月、女性には憧れのJUNEブライド。

企画開発部の先輩、佐藤さんの挙式がホテルで盛大に行われた。

約束のウェルカムボードを作成し、挙式前、事前に行われた職場でのお祝いパーティの写真をまとめたアルバムもプレゼントした。

赤ちゃんが産まれるのもあって、新婚旅行は行かないらしい。

二次会の帰り、受け取ったブーケを握りしめて綾美が呟く。

「このブーケが私の元に来たって事は私が次な訳!仕事なんかしたくなーいっ!」

バイヤーになるか否か、まだ決断出来ていない綾美は高橋さんとケンカしてしまったらしく、荒れている。

「高橋さん、綾美は飲み過ぎですよ。フラフラしてる…」

「困りました、どうしましょう…」

「お前が蒔いた種なんだから、自分で何とかしろよ」

困り果てている高橋さんに対して、日下部さんは見捨てるように切り捨てる。

「そーゆー言い方はないでしょ!日下部さんだって関係あるでしょ!日下部さんが企画した新店舗の件なんだからっ!」

「…自分が呼ばれないからって卑屈になってんの?」

「そ、そんなんじゃないもんっ!」

日下部さんは勝ち誇ったかの様に微笑んでいるが、話がややこしくなってきた。

綾美は仕事上での夢と結婚生活とか、色んなものを天秤にかけては、どれも選ぶ事が出来ずにいた。

「…要するに企業内の保育園があればもっと働き安くなる訳ですよね?杉野さんがバイヤーになって家を空ける日があっても、企業内の保育園なら高橋さんの負担も減ると思うし…」

「そうだよ、王子。女性も働く時代なんだから、企業がもっと努力しないと…辞めちゃうぞ?」

黙って話を聞いていた有澄が思いついた様に話を振ると、綾美はブーケで有澄の肩を叩き物申した。