相良さんは相良さんで「焼肉ですか…。車に匂いが残りそうで嫌ですが…お誘いされたので仕方ありませんね」とか言いながら車を取りに行く。

相良さんの車を待っていると、珍しいツーショットの二人から「どうにかしろよ、あの馬鹿!どんだけお人好しなんだよ」と日下部さんの声が聞こえたけれど有澄は動じず、「ゆかりをどうにか出来るのは俺だけの特権だから!」と言っているのが聞こえた。

「馬鹿は本当に残酷で困る!」
「……同感」

日下部さんがボソボソと呟いた言葉を多岐川さんが拾ったけれど、私にも聞こえたもん。

私は日下部さんと有澄にも兄弟として仲良くして欲しいし、多岐川さんとも和解したいし、・・・時にそれが残酷になりうる事も理解はしているけれど・・・

一歩前に進まなければ、両者は歩み寄れないでしょ?

その先に辿り着けないもの。

偽善者と言われても致し方ないけれど、理解して貰えないかもしれないけれど、私は誰かを恨んで生きて行く生き方は嫌だ。

一度しかない人生だからこそ、毎日を楽しく過ごしたいでしょ?

妬みや恨み、確執、誰にだってあるけれど、私は有澄が居てくれるから浄化出来る。

有澄が居てくれるから、日々が輝いている。