楽しかったゴールデンウィークが終わり、通常通りの職場。

綾美は行き当たりばったり旅行だったらしいけれど、『スマホで検索しながらの電車旅もスリルがあって楽しかったよ』と言っていた。

デスクの上には、職場の皆からのお土産がバラエティ豊かに並んでいる。

甘いものが苦手な日下部さんは、自分の分を誰にも見つからないように私のバックに密かに入れた。

そんな楽しい雰囲気を壊すかの様に、休み明けから一週間後に事件が起きた。

あと僅かで定時時間となるのだが、先程まで仕事どころではなかった。

何故かと言うと私事の事件が2件起きていて、時は遡り、今日の朝の出来事───・・・・・・

出勤したら、私のデスクのパソコンの画面に怪文書が貼られていたのだ。

"秋葉は日下部部長と副社長の二人と付き合っていて二股している"とパソコンで打たれた文字の怪文書。

そんな事実はないので、即剥がしてゴミ箱へ捨てた。

企画開発部の皆の所にも貼られていた様だった。

日下部さんも機嫌が悪く「ふざけやがって」と言いながら、ゴミ箱に捨てていた。

午後になり、お昼から戻ると送信者不明な企画開発部の私宛に届いたメール。

"会議室を私物化して密会している"

「ゆかりちゃん…こないだのボードを傷つけた犯人なんじゃない?」

隣のデスクから佐藤さんが心配そうに声をかけてきた。

佐藤さんにも届いたらしい。

もしかしたら日下部さんにも綾美にも、企画開発部以外にも届いているのかもしれない。

すぐ様、「気にすんな」と言って日下部さんに肩を叩かれ、綾美にも慰められた。

やっぱり届いているんだ、皆に・・・。