「日下部さんね、女子社員にモテるけど…誰とも本気で付き合った事がないみたい。私にとってもお兄ちゃんみたいなものだよ。保護者よりもガミガミうるさいし!仕事は的確で誰よりも熱心だけど…

Sの本領発揮するし、でも、時々優しい一面もあるよ」

「ふぅん…そう。ゆかりは日下部さんの事は良く分かってる様な口ぶりだね」

つい言葉を並べてしまったが、有澄には不機嫌になる要素だった様だ。

日下部さんの話をするのは止めておけば良かった。

有澄だって、突然の事に戸惑っていたはずだから・・・。

「あ、りと。今はや、だ…!」

後ろから首すじにキスをして、私の身体に触れる。

「日下部さんは知らないでしょ?ゆかりのこんな表情。日下部さんに勝ってるところと言えば、普段とは違うゆかりを独占してるところかな?」

「お風呂上がりたい…!有澄、ご飯食べてないでしょ?だか、ら…」

「今更お預けなんて無理!それに俺の事よりも日下部さんの事の方が良く知ってる様な口ぶりのゆかりは気に入らない。

ゆかりがSの方が好みなら、酷くしてあげる」

有澄は嫌だと言っても止めてくれなくて、行為はエスカレートするばかり。

相良さんが言っていた似た者同士なところは、すぐ拗ねてムキになる部分と優しさとサドスティックな部分の裏表があるところかもしれないと思った。

要するに・・・表は王子様で裏はSな有澄、表はSで裏は紳士的な日下部さんと言う事だと思う。

有澄と日下部さんのプライベートな部分は知りたいけれど、成り行きに任せよう。

有澄に日下部さんの話をすると、必ず拗ねて、自分に振り返って来るから。

「…あり、っと。何かのぼせたかも…」

頭がクラクラして、身体がダルい。

「ごめん。反省します…」

ヤキモチ妬きの彼氏を持つと大変です。

最近、何となく分かって来ました───・・・・・・