「先に入ってるから、後から来てね」と言われて、恥ずかしいからバスタオルを巻いたまま入ったら、はらりと取られて今は湯船の中。

「花びらが泡風呂になった!」

「実は今日、金井繊維の次に行った石鹸とか作ってる会社…で貰った。新商品だって。いろはのプチギフトで使って貰えないかな?って言われたよ」

「可愛くて楽しいね」

有澄に抱き抱えられるように湯船に浸かっているのだが、ふんわりとした優しい香りとピンク色した泡風呂が気に入って思わずはしゃいで泡を飛ばす。

「コレ、色んな色と香りがあるのかな?季節毎にラッピング変えて販売したら、女子は好きかも?形もいろはオリジナルにならないかな?」

「あははっ、ゆかりは本当に仕事が好きなんだね。将来有望な社長夫人だね」

「私ね…いろはの雑貨が大好きなの。だから仕事も大好きなの」

「今さぁ…社長夫人のところをスルーしなかった?行く行くは社長になれる様に頑張るから、ゆかりさえその気になればいつでもお嫁さんにおいでね」

さらりとプロポーズしてしまう事も、有澄の王子力なんだと思う。

今のままで、ずっとデザイナーを続けられたら良いなって思うよ。

昇進なんかしなくたって良い。

私は今の地位を守りたいの。

ただ、有澄のお嫁さんにはなりたいって思うよ。

「…有澄が私の事を本当に好きで、仕事が落ち着いたらね?」

「…即答してくれないのが悲しい。やっぱり、日下部さんみたいにカッコよくならなきゃダメ?義理の兄だけど、男としてカッコイイと思ったのは本当だから…」

カフェで会った時から、繰り返しカッコイイと言っているので本音なのだろう。