日下部さんは手を出さず、無言で有澄の手を避ける。
「副社長、お止め下さい。午後3時から金井繊維を訪問予定ですので、お話はまた後ほどにして下さい」
有澄は悔しそうな顔付きをして、立ち上がる。
「ごめんなさい…今、ここで聞いた私が悪いんです。場所をわきまえるべきでした」
こちら側に背を向けている有澄と秘書の相良さんに対してお辞儀をして謝罪した。
「いいえ、手を出そうとした副社長が悪いのです。兄弟喧嘩は御自宅でして下さい」
日下部さんは何も言わずに立ち上がり副社長室を後にしたので、私も一礼してから飛び出すように出ていった。
「日下部さん、日下部さんってば!」
足早にエレベーターに向かう日下部さんを追いかける。
エレベーターのちょっと前で止まったので、私は勢い余って日下部さんの背中に頭がぶつかった。
「ご、ごめんなさい。前を良く見てなくて…」
「先に戻ってて。言い忘れた事がある」
「はい、分かりました。じゃあ、お先に戻ります。喧嘩…しないでね」
日下部さんは私の頭を優しく撫でると、再び副社長室へと向かった。
エレベーターを待っていると、日下部さんと引き換えに秘書の相良さんが副社長室から出てきた。
「追い出されてしまいました…」
「………?」
「副社長、お止め下さい。午後3時から金井繊維を訪問予定ですので、お話はまた後ほどにして下さい」
有澄は悔しそうな顔付きをして、立ち上がる。
「ごめんなさい…今、ここで聞いた私が悪いんです。場所をわきまえるべきでした」
こちら側に背を向けている有澄と秘書の相良さんに対してお辞儀をして謝罪した。
「いいえ、手を出そうとした副社長が悪いのです。兄弟喧嘩は御自宅でして下さい」
日下部さんは何も言わずに立ち上がり副社長室を後にしたので、私も一礼してから飛び出すように出ていった。
「日下部さん、日下部さんってば!」
足早にエレベーターに向かう日下部さんを追いかける。
エレベーターのちょっと前で止まったので、私は勢い余って日下部さんの背中に頭がぶつかった。
「ご、ごめんなさい。前を良く見てなくて…」
「先に戻ってて。言い忘れた事がある」
「はい、分かりました。じゃあ、お先に戻ります。喧嘩…しないでね」
日下部さんは私の頭を優しく撫でると、再び副社長室へと向かった。
エレベーターを待っていると、日下部さんと引き換えに秘書の相良さんが副社長室から出てきた。
「追い出されてしまいました…」
「………?」



