「俺の昼交代の時間になったら、誰にもバレない様に時間ずらして社食に来い」

「分かりました」

日下部さんとの話が終わったので再び社員食堂に戻ると綾美と高橋さんが二人で話をしていたので、邪魔しない様にその場を去った。

綾美と高橋さんの交際お試し期間は終了して、本当の彼氏彼女になったらしい。

社員食堂を出ようとした時に忘年会で同じテーブルだった女の子に会った。

「副社長の花野井さんって秋葉さんの彼氏ですよね?」

「…うん」

きっと掲示板を見て知ったのだろう。

忘年会で初めて会話をしただけで、今まで存在も知らなかった私の様な人の彼氏の話までも覚えているとは恐るべし。

4ヶ月も前の話なのに・・・。

「副社長になる前から付き合ってたみたいですけど、御曹司って知ってたから付き合ったんですか?きっとそのうち飽きられて浮気しそうじゃないですかぁ?」

何が言いたい?

「御曹司だなんて知らなかったんだよ。そうだね、私の方が年上だから仕方ないのかもね?」

「男はみーんな若い子がいいに決まってます。私、日下部さん狙ってるんです。協力してくれませんか?」

私に傷つける様な物言いをしたくせに頼み事までしてくるとは、本当に強者だ。

さぁ、どうやって切り抜けよう?

「日下部さんは企画開発部に一人で残ってますので行ってみたらいかがです?」

「えー!?一人で行きずらいから秋葉さん行きましょうよ~」

私の休憩時間を嫌味な会話で奪っただけではなく、付き合ってとはどれだけ図々しいんだ。