城は、中々動き出さない翼にこちらの方がムズムズした。
あまり急かしてまたへそを曲げられたら困るし、かといって何時間もつき合う温厚さは持ち合わせていない。
「翼、お腹減ってきた。
だから、早く行ってちゃっちゃと済まそうよ。
それで、美味しいもの食べに行こう」
翼は小さくため息をつく。
翼のため息をこの小一時間で何回見たことだろう。
「分かりました…
行きましょう…
あ、でも、その前に、室長、今日の私、いい感じですか?
大人の女性を醸し出せてますか…?」
翼は車のルームミラーを何度も見ている。
「翼以上に綺麗で大人っぽくて最高にいい女はいない。
もし、和成の彼女が家にいたとして翼を見たら、あまりのショックに口が聞けなくなるなるはずだよ。
和成さんの元カノってこんなにモデルさんみたいに綺麗な人だったんだって。
だから、自信を持って堂々と和成の前に現れればいいんだ」
翼の顔に笑顔が戻る。
今度はいたずらっ子の笑みを浮かべ肩をすくめた。
「そんなに私が綺麗だったら、和成がよりを戻そうって言うかもしれない…」
城は突然翼にキスをした。
「もう、お前は俺のものだ…
それだけは忘れるなよ…」



