「それはダメだ」
即答でそう返ってきた。
室長はずっと和成のマンションを見つめている。
「俺の中に邪な気持ちがあるのは、それはそれで認める。
でも、後回しにしたところで翼に何のメリットがあるんだ?
厄介な問題こそ早めに片付ける。
それは、生きていく上での鉄則だぞ」
室長の場合は、生きていく上でじゃなく仕事の上では、だと私は思うのですが…
今までの室長の人生にこんな問題は生じてないと思うから…
翼はかなりブルーになっていた。
考える事といったら毒たっぷりのひねくれた意見ばかりだから。
翼は心を入れ直して大きく深呼吸をした。
「行くか? 何なら俺もついていくぞ」
「室長…
今の私は、正直、すごく怖いです。
だって、土曜日のこの時間に、家に居るってことは、きっと彼女も居るって事でしょ?」
室長は大きく頷いた。
こういう所は悲しくなるほど正直だ。
「翼、俺もそう思う。
確実に居るな。下手したらいちゃついてるかもしれないぞ」
そこまでの意見は要らないんですけど…



