眠り王子が完璧に目覚めたら




「501号室だから。
多分あの形の建物なら左からが若い番号だと思う。
今数えたら5階建てのマンションだし、一番上の階の左をみれば大丈夫。
気になるようなら右側も確認して」


室長は職場で部下に連絡事項を言うように、淡々とそう告げた。
私がやっぱり行きたくないなんて言ったとしても、おんぶしてでも連れて行きそうな勢いだ。

私はまた小さくため息をついた。


「お、見たか?翼。
電気ついてたぞ、それも左も右も」


私はだんだんと腹が立ってきた。
私にとってはこんなにナイーブで繊細な問題なのに、まるで競馬が当たったかのような室長の口ぶりにはやっぱりカチンとくる。


「室長、そんなにウキウキしないで下さい!

室長がウキウキはしゃげばはしゃぐだけ、私は行きたくなくなります。
こういうのをへそ曲がりって言うのかもしれないけど、私は自他とも認めるへそ曲がり人間なんです」


室長はまたさっきのコンビニの駐車場に車を停め、フゥとひと息ついて私を見た。


「ウキウキなんてしてないぞ…
翼、頑張れ…って思ってる」


「じゃ、今日じゃなくてもいいですか…?」