あの和成と会った最後の夜がトラウマのように甦ってくる。
「翼? 大丈夫か?」
室長は和成のマンションが見えるコンビニの駐車場に、とりあえず車を入れてくれた。
「普通の優しい大人の男なら、こういう時に、翼、キツイんだったら今度にしようか?なんて言うのかもしれないけど、悪いが俺は言わないぞ」
そんなの改めて言われなくても分かってます!
でも、そんな威勢のいい言葉も、今の翼には胸の中でしか話せない。
「し、室長…
あのマンションならベランダ側に出たら、家が留守かどうか分かりますよね…?
電気が消えてたら留守ってことだし…」
室長は大きくため息をついた。
「見に行きたいのか? そのベランダを?」
翼は力なく頷いた。
「じゃ、車であのマンションをぐるりと回ってみるから、ちゃんと確かめるんだぞ」
室長はそう言うと、今度は和成のマンションの部屋番号を大きな声で教えてくれた。



