城は部屋へ帰ると、今度はベッドを分解し始めた。
分解するのは簡単だ。
さっさと終わらせて、とりあえずベランダに出してしまいたい。


「室長、やっぱりダメですか…?」


翼は悲しそうな顔をしてバラバラになるベッドを見ていた。


「もう翼は俺のものだ。
だから、このベッドは捨てる。
明日、これよりもっとお洒落で可愛いベッドを探しに行こう」


翼は何も言わずに頷いた。
城はあっという間にベッドを片付け、上手にベランダに出した。
そして、窓を閉めカーテンまで閉め切る。
この煮えたぎる程のジェラシーは、きっと、このベッドが焼却炉で焼かれ灰になるのを見届けない事には気が治まらないくらいだった。

城はぐっと堪えて深呼吸をする。
すると、ソファにちょこんと座りこちらを見ている翼と目が合う。
翼は困ったように肩をすくめ笑った。
城も翼の隣に腰かけた。

この二人掛けのソファもなんて狭いんだ…
でも、俺はこのソファは気に入っている。
だって、すぐに翼にキスができるから…


「キスしていい…?
いや、キスしなきゃ、俺は嫉妬で暴れ出すぞ」


俺は言い終らない内に、翼を引き寄せた。
すると、翼の方から微笑んで軽く俺にキスをしてくれた。

そんなんじゃダメなんですけど…

俺は、むさぼるようにキスをした。
このまま死んでもいいと思える程の恍惚な喜びを、翼に与えてもらいながら…