眠り王子が完璧に目覚めたら




城はパンを食べ終えると、段ボールの仕分けに入った。
翼は別に何もしなくていい。
これはそことか、あれはこことか、指図してくれるだけでいい。

ノースリーブの紺色のセットアップから見えている翼の腕のか細さは、城の溢れ出る保護本能を刺激するだけ刺激した。
この翼を守りたい衝動は、全てにおいて顔を出す。
だから、重たい荷物なんて絶対持たせたくないし、段ボールの角で指なんて切ったらたまったもんじゃない。
翼はベッドの上で好きな事をしていればいい。
後は、全部、俺がする…

城は手際が良かった。が、翼の荷物は多過ぎる。
城の見立てでは、半分はゴミだった。


「俺の感じでは、物に対して棚が絶対に足りない気がするんだけど」


翼は何もしなくていいからと言われ、ベッドの上にお地蔵様のように座っている。


「じゃ、私、要らない物を捨てます。
だから、ここから下りていいですか…?」


城は渋々頷いた。
勝手に俺がガンガン捨てたりしたら、翼はもう俺にキスをしてくれないかもしれない。
なんて、ウブな中学生の坊主のような事を考える俺は、きっと末期だ。

翼は、俺に見られたくない段ボールから手を付け始めた。
ドキドキした顔で俺に見られないようにしている姿が、やけに気になってしょうがない。


「何が入っているの?」


城はとりあえず優しく穏やかに聞いてみた。