勝手に水をもらって一本を飲み干すと、キッチンの隅で寝ている翼をまたしばらく眺める。

なんて可愛いんだ…
人間の寝顔を見てこんな風に思えるなんて、やっぱり俺に感情が芽生えてきた証拠だ。

城は翼の寝顔を見ているだけでは済まなくなる。
ソファの横に腰かけて、翼のほっそりとした手を自分の手に合わせた。
白くて滑らかできめの細かい美しい肌。
綺麗に切り揃えられた爪も一本一本触ってみる。

これは全部俺のものだ…

城はソファで窮屈に寝ている翼を担いで、ベッドまで連れて行く。
マットの上に寝かすと、翼は気持ち良さそうに伸びをした。
城もベッドの上に座り、また翼の顔を眺める。

9月に入ったというのに夜中でも気温は高く、城はさっき見つけたクーラーのリモコンを強にした。
城の疲れた体を、心地よい冷気があっという間に包み込む。


少しの間だけと思い翼の隣に横になった城は、迷うことなく眠りの底に堕ちて行った。