クリスマスの夜は、最高に楽しい夜だった。
翼に限っての話だが…
城は、太一と陽介と待ち合わせしている店に、翼も連れて行った。
何も一切知らされていない二人はそうじゃないかと予想はしていたが、思いの外、城が連れてきた彼女が美人過ぎて言葉が出ないくらいに驚いた。
「城… お前、すごいじゃないか…?」
陽介と太一の前では多くを喋らない城は、今でも健在だ。
でも、太一達にはそんな事はいつもの事で、城を通り越し翼と楽しく会話をして喜んでいる。
翼は城にこんなに素敵な友達がいた事が不思議で嬉しくて、ついつい太一達とはしゃいでしまった。
「城、何、そんな怖い顔してるんだ?
え? もしかして、焼きもち焼いてるとか?
マジか、嘘だろ?
お前にもそんな感情が芽生えたか…」
心優しい陽介は、今までの城を思い泣き出す始末だ。
「感情が芽生える…?
何か、そんな話を誰かに聞いたような…
あ、あそこのおばはんだ!
城、もしかして、翼ちゃんと出会った夜って…?」
「満月の夜だ!」
そう言って叫んだのは、太一と陽介と翼の三人だった。
三人で楽しそうに爆笑している。
城は早く帰りたくてウズウズしていた。
いくら親友だからとはいえ、翼にベタベタし過ぎだ。
「なあ、そろそろ帰るぞ」
城が翼に向かってそう言うと、後の二人が城を睨んだ。
「翼ちゃんは俺達がちゃんと送って帰るから、城は先に帰っていいぞ」
城は凄味を利かして、太一と陽介を睨み返す。
「ほら、帰るぞ。
太一、陽介、じゃあな」
城は翼の肩を抱き寄せ、二人を置いて店を出た。



