眠り王子が完璧に目覚めたら




「私は……

私は、今の会社を辞めたくない…
城のような立派なデザイナーになりたいから、その目標に向かってもっともっと学びたい…」


城の中ではこうなる事は一応想定内で、そのための言葉も考えていた。


「それは、俺が教えてやるよ。
俺の助手となって、俺の仕事を見て学べばいい」


翼は城が最後まで話し終わらない内から、首を横に振っている。


「違う、違うの…

私だって、いずれは城の手足になるようなそんなデザイナーになりたいし、そういう仕事をするのを夢見てる。
でも、今の私は、城だってこの間の私の成績で分かってると思うけど、そんな実力もないしもちろん自信だってない。

だから、今の会社でもっともっとスキルを上げたいって思ってる。

ただ私を近くに置きたいからとか、そういう理由だったら、いや絶対、そういう理由だもの…

そんなのは嫌…

私が一番そういうのを嫌ってるの、知ってるでしょ…?」


城は目を細め、苛立ちのあまり苦し紛れに天井を仰いだ。


「俺は、翼と一時も離れたくないんだ…
だから、一緒に新しい会社に来てほしい…

ダメか…?」


翼は瞬きもせずに城を見ている。
その視線は、揺るぎない決意を放っている。

城は、翼が一筋縄ではいかないという事は身をもって分かっている。
だから、俺はその上をいかなきゃならないのに、いつも翼優先で考えてしまう。
翼を頭ごなしに抑えつけてまで、自分の意見を推し通す意義が馬鹿らしくなってしまうからだ。

翼の好きなようにさせてあげたい…

それが俺の基本の考えだけれども、今回は中々そう思えない自分が歯がゆかった。