眠り王子が完璧に目覚めたら




食事を済ませ、二人はソファに腰を下ろして夜景を見ている。

城は、翼の飲むペースを見計らってあの大切な話をする事にした。
外は粉雪が降っている。
その粉雪は光り輝く夜景の景色に、見事にクリスマス感を演出してくれた。


城はソファから下りて、翼の目の前に座った。


「どうしたの…?」


翼は大好きな果物を頬張りながらそう聞いた。


「翼、聞いてほしい事があるんだ…」


城はそう言うと、翼の左手を優しく握った。


「実は、俺、この3月で今の会社を辞める。
今の会社を辞めて、独立するんだ。

これはもう前から考えていた話で、社長も会社の人達も賛同してくれている。

で、うん…

単刀直入に言うよ。

翼も俺と一緒に3月で今の会社を辞める。
そして、俺の新しい会社で働いてほしい」


城はここまで話した時点で、明らかに翼の表情が硬くなった事に気付いた。
俺の手の中にあったはずの翼の左手は、いつの間にかなくなってたから…

翼の目は宙を彷徨っているように見える。
その目は決して喜んではいない。


「翼…?
大丈夫か…?」


城がそう聞くと、翼は城を見ずに大きく深呼吸した。
そして、今度は勝気な目となって城を見る。


「それは…
それは、決定事項なの…?」


「俺の中では、絶対的決定事項だ」


城の話にはまだ続きがある。
年が明けたら結婚しようと言う言葉達が、自分達の出番を待っている。

でも、今の翼の状況ではそんな事は言えない。

城の嫌な予感が的中した。