翼は、城が開けてくれたドアの先に見える夜景の素晴らしさに息を飲んだ。
リビングへ真っ直ぐ伸びた廊下がまるでタイムトラベルのトンネルのように、先に見える壮大な夜景を際立たせた。
「お、お邪魔します…」
翼はそう言うと、早歩きで廊下を抜け壁一面がガラス張りになっているリビングに飛び込んだ。
「……城、すごいよ、東京の夜景を一人占めしてるみたい」
城はまだ灯りを点けずに、翼の感動の場面につき合った。
城にとっては毎日見慣れた風景も、翼にとっては初めて見る最高の夜景なのだから。
「……あ」
翼が何かを見つけたらしい。
城は得意そうな顔をして、翼を背中から抱きしめた。
「翼の家にあるツリーを借りてきた…
この部屋にはちょっと小っちゃいけど、でも何だか可愛いよな。
あのスペースだけが、温かい雰囲気を醸し出してる。
あそこだけ異空間って感じ?」
翼は城の方に向き直り、城の顔を涙目で見つめた。
「あのツリーは、おばあちゃん家にあったものなの…
おばあちゃんが亡くなって、形見分けをした時、私がもらった大切なもの。
和成はせっかくのクリスマスにこんな小さいのは嫌だって言って、大きいクリスマスツリーを買ってきた。
だから、こういう風におばあちゃんのツリーが素敵に飾られてて、びっくりと感動で涙が出ちゃった…」
翼は涙をポロポロこぼしながら、城の首に手を回しお礼のキスをした。
本当に本当にありがとう…
おばあちゃんもきっと喜んでるよ…



