選考に全く関係のない総務課の人間が点数の集計をする。
それも無慈悲な城が決めたやり方だった。
そうとうな根回しをしない限り情報が他に漏れる事はない。

そして、とうとう結果が出たと連絡があった。
選考委員は第一会議室に呼ばれ、ここで初めて誰の作品かが分かる。

城は室長室を出る時、翼の顔が見れなかった。
翼は平静を保っているが、俺の方こそ緊張で吐き気を催すくらいだ。


「室長、どんな結果でも私は大丈夫ですから…」


そう言う翼の健気な笑顔がますます緊張を高める。
城はうんと頷く事しかできなかった。

会議室にはもう全員揃っていた。
ダラダラしていた城が席につくと、総務課の人間が城を呼んだ。


「安達室長から発表をお願いします」


城は手を横に振り、そっちでやってとジェスチャーでそう促した。
すると、困った顔をしながらその総務課の人間は頷き、淡々とあっという間に発表した。


「じゃ、発表します。
一位は、在宅デザイナーの林圭太さん。
二位は……」


城はショックが大き過ぎて、何度も深呼吸をする。
翼はダメだった…


「四位が小牧翼さん…」


四位? 四位か…
苦しい程、微妙な順位だな…
惜しかったなとも言えないじゃないか…

発表を終えた後一位からの作品を流し始め、皆それを見ながら納得のため息をつく。
やっと四位の順番がきた。
コマキツバサと出てから作品が流れ出す。

あ、これか…
これだったのか…
ヤバい、俺は4位よりも下の点数をつけたかもしれない。

翼、この作品なら一から勉強だな…

と、俺は言えるだろうか…?