眠り王子が完璧に目覚めたら




翼は城の意外な一面を見た気がした。
城の機転の良さは天性のものなのかもしれない。

今、ブラインドが開け放たれた解放感に、翼の息詰まった心の中にも少しだけ陽の光が差し込んだ気がした。


しばらく席を外していた室長が帰って来た。
翼を見ると、外へ出てと目で合図する。

室長はデザイン室の中央にあるミーティングスペースに立ち、皆を呼んだ。


「今から大切な話をするから、関係のある者はちゃんとメモに控えるように。

ま、皆から非難があったのかな…?
今取り組んでいるビッグプロジェクトのプロジェクションマッピングのデザインの事なんだけど、やる気がある者に関しては制限をつけずに、見させてもらう事に変更した。

これならというくらいの自信とクオリティの高い物を提出するように。
選考はいたってシンプル。
それは皆がよく分かってるだろ?

急な変更という事で、期限も一週間延ばす。

今、この話を聞いて参加したい人間は何人くらいいるか?」


城がそう聞くと、ちらほら手が上がった。


「了解。
質問があれば、今週だったら受け付ける。



それと…

小牧さんの件だけど、ま、色々誤解を招くようなところがあるかもしれないけど、彼女は多分ここにいる誰よりも真面目で几帳面でズルが苦手な人間だから、俺からアドバイスなんて一切もらってない。

俺が嘘は絶対につかない人間だという事は、お前達が一番知ってるだろ?

以上、文句がある奴は後で受け付けるから。


それと、これもちゃんと言っておく。

俺は小牧さんとつき合ってる。
別に何も問題はないよな…?

今度こそ、以上、終わり、解散」




翼は胸のドキドキが止まらなかった。
こんな守られ方ってある…?
単刀直入で的を得ていて、皆、納得するしかない…

室長って、こんなにカッコよかった…?