「でも、翼を室長室から出す事は、まだ何も言わない。
それは、もう少し考えさせてくれ…」
城は翼の表情が明るくなったのが分かった。
その微妙な変化を見れただけでも嬉しい。
城は翼をこっちに呼んだ。
誰もいないし、ご褒美のキスくらいしてほしかった。
そうジェスチャーで翼に伝えると、翼は思いっきり手でバツを作り澄ました顔で俺を無視する。
二人っきりの室長室だからって、真面目な翼は俺に絡む事なんて絶対にしない。
いくらラブラブだからって、翼は俺とはちゃんと距離を置いてきちんと仕事をする。
城は、閉め切っているブラインドをもう一度全開にした。
皆に理解してもらうには、ちゃんと見てもらう事が一番だ。
俺達はつき合っているけれど、生真面目で不器用な翼の性格のおかげで、皆が想像しているようなイチャイチャやえこひいきなんて、この空間には一切存在しない。
俺はいつでも何時でもイチャイチャは大歓迎なんだけど…
「室長、開けちゃっていいんですか…?」
翼はガラスの向こうに見える皆を見ながら、そう聞いた。
「下手したら、向こうの奴らより真面目に仕事をしてるのに、変に誤解されるのは嫌だろ?
俺だって、翼とイチャイチャできるのなら絶対にブラインドは閉めとくけど、そんな事、翼はしてくれないし。
つき合ってたって、翼はちゃんと真面目に仕事をしている。
それは俺だって同じだ。
これでしばらく様子を見よう。
そしたら、翼がこの場所に居る事だって、あいつらにも当たり前になるはずだから」



