翼はリゾットを全部食べ終わると、城の座っている椅子に無理やり座ってきた。
「狭いだろ…」
城はそう言いながら、もう翼の術中にまんまと嵌まっている。
翼を自分の腰の上に正面に座らせると、翼のお風呂上りのいい匂いに卒倒しそうだ。
「城、お願い…
さっきの話を真剣に考えて」
翼はそう言って俺の顔を自分の胸に包み込んだ。
優しく抱きしめてくれる翼の柔らかい胸の膨らみが、俺の思考回路を破壊する。
俺は息も絶え絶えで、こう呟くのがやっとだった。
「…いやだ」
すると、翼は体を起こし俺の膝からするりと降りて、ベッドへ向かう。
背中を見ると、明らかにプンプンと怒っている。
俺はしばらく放心状態だったが、すぐに翼を追いかけてベッドに滑り込んだ。
「だって、俺は翼が室長室から居なくなるなんて、耐えられない…」
俺はまだ恋愛に関しては中学生の坊主と同じレベルなんだ…
翼、分かってくれ…
「こうやって、私の家で一緒に暮らしてるのに…?」
城は何も言わず後ろから翼を抱きしめた。
「だって、希望は24時間一緒にいたいんだから、しょうがないだろ…?」
翼はまだ背中を城に向けたままだ。
「我慢してください…
大人はそういうのは我慢するんです…」
城は翼を抱きしめたまま少しだけ考えるふりをして、その後横に寝転がり天井を仰いだ。
「我慢する必要ないよ。
翼は俺の近くで仕事をする。
そして、デザインの仕事も最後までやり遂げてちゃんと選考会に提出する。
それで、何も問題ない」



