眠り王子が完璧に目覚めたら




結局、レストランでは、あれ以降話は全く進まず、翼はデザートとコーヒーだけはしっかり食べて家へ帰ってきた。

私がデザートを食べて少しだけ笑顔になったので、室長はそれでもうこの話は解決したと思っている。
でも、やっぱり、私は引く事はできないし、室長に分かってもらう事だけを考えていた。
私のこの生真面目で適当やあやふやが苦手な性格もそうさせているけれど、それよりもやっぱり室長の事を一番に考えてしまう自分がいる。

今回の事で改めて気づかされた。
私はきっと室長以上に、室長の事を愛している…





城は、翼のために軽い夜食を作っている。
ただでさえ痩せているのに、仕事の悩みとかやらでこれ以上痩せてほしくはない。
俺は少しはふくよかな方が好きなのに…

シャワーを済ませてテーブルに座った翼の前に、冷ましておいた野菜たっぷりのリゾットを置いた。


「これは全部食べること。
ほとんど何も食べてないんだから」


翼は俺の手を握り小さな声でありがとうと言った。
そして、無理に笑顔を浮かべそのリゾットを口へ運ぶ。

城はそんな翼をジッと見つめた。
哀しそうな翼の顔は、俺の胸をざわつかせる。
何とかして、その要因を取り除いてあげたくなる。
でも、残念ながら、今の俺にはそうする勇気はさらさらない。


「室長… ううん、城、もう一度聞いて…」


翼はずるい。
俺が城と呼ばれると何でも言う事を聞いてしまう、翼にとっては最高な特質を心得ていた。