眠り王子が完璧に目覚めたら




城は嫌な予感が全身を駆けずり回っている状態に、具合が悪くなりそうだった。
翼の様子がおかしいのは明らかで、話があると自分から言ったくせに未だに何も話そうとしない。

もう前菜も食べ終わりサラダも食べて、メインのお肉料理を待つだけだ。
そして、翼は、自分から誘ったくせに全く食が進まない。
前菜もサラダも残し、俺がその残り物を全部平らげる始末だ。


「お腹空いてないんだろ?」


そう聞くと、翼はぶんぶんと首を横に振る。


「じゃ、何で食欲がないの?」


そう聞くと、下を向いて黙り込む。
この繰り返しだった。

外は11月に入り、冷たい風の吹く日が続いている。
白いブラウスに濃紺のカーディガンを着ている翼の顔が、心なしか青ざめて見えた。
もしかして、風邪の引き始めかもな…


結局、メインのお肉料理も俺がほとんど食べ、横に添えてあるパンももちろん俺が食べた。
後はデザートを待つのみとなった時、翼は初めて口を開いた。


「今日は、室長に大切な話があって…」


「うん、それは分かってる」


「…あの、その」


そして、翼はまた黙り込む。


「いいよ…
話したくないなら無理に話さなくて。
じゃ、話を変えよう。

どう?
一週間先に迫ったけど、デザインは順調に進んでる?」


城は一体何を俺は聞いた?と、自分に問いかけた。
だって、翼の目から涙がポロポロこぼれ出したから。