『ごめーん遅れちゃった』

女子軍が遅かったみたい…

男子軍が先に玄関前にきて待ってた

私達はいつもこんな感じだ

『え…その男子って誰?』

1人だけ違うクラスの恋澄(こすみん)は

もちろん豹くんのことを知らない

だからみんなで

帰りながら自己紹介することにした

「んじゃまずオレからな」

1番に自己紹介をリードしてくれたこの男は

「オレは翼木 空輝、部活はサッカー部」

「こう見えて実は意外と…」

「勉強ができないヤツなんです」

いやいや

見るからにスポーツバカ感が漂う空くん

「もし勉強ができるヤツなら教えてネ!」

「できなかったら一緒に勉強しよ!」

明るい茶髪でちょっと金髪に近い感じの髪の毛に

どうやら親の形見だという

いつも着けてる水色のブレスレット

でも両親とも生きてるのに…?


「じゃあ次僕!」

お?いつになくやる気じゃん!

「ーでいいよね…?」

あ…やっぱり翔琉はそう言う感じだよね

「えと…ぼ、僕は浅海 翔琉です、部活は天文学部」

「えと…ちょっとだけなら勉強はできるよ」

「よろしく!」

『じゃあ順番的に私…?』

だよね?

『私の名前は海月 千花です、部活は帰宅部です笑』

なんか帰宅部って恥ずかしい

『頭はいい方ではないです』

『良い勉強方法あったら教えてネ!』

『よろしく豹くん!』


『じゃあ最後にうちやな?』

あ…やっぱりだ

『うちは桜空 恋澄や!』

ちょっと面倒くさそうに自己紹介をした

大抵の人はこすみんの裏を見てびっくりして

一時停止する

…けどあれ!?

『よろしくな?』

でも豹くんはなぜかニコニコしてる…!?

『面倒くさい男はキライやで?』

私はびっくりした

だっていつも学校では静かに

分厚い本読んでるし

誰にでも敬語だし

みんなの頭の中が

"こすみんが裏がある"

と言う設定に変更するのに

大体半年はかかってしまう


だからニコニコしてる豹くんに

私達はびっくりした

「もうすぐで俺、家に着くからじゃーね…」

やっぱ無口だなぁ豹くん…

ボソボソボソ

ん?

恋澄の耳元で

2人だけのナイショ話をしてる豹くんに

空くんはこわい目付きをしていた

『…ぁのうちもこっちから帰るわ!』

紅く染めた頬を下を向いて隠しながら

豹くんと一緒に帰ってるこすみんに

私達はやっぱり疑ってしまった

『豹くんって何者!?』
「 黒瀬 って何者!?」


「ちょっとそこの公園によってくぞ」

空くんが珍しく寄り道を持ちかけた

「いいか?」

えぇ!?珍しい!

まぁ当然と言えば当然かな…?

『うん!私はもちろん大丈夫』

『翔琉は?』

「えー!…ぃぃょ」

んん?まさかの翔琉もオッケー!?