蛯原さんに英語の分からないところについて聞かれたけど俺も分からなくて、乃々香なら分かるかなと思って話しかけた。


そしたら変な反応するから、可笑しくなって笑って。



一緒に勉強した日以来少し乃々香とは気まずくなっていたけど、そのおかげでまた前みたいに話せる様になった。





「おはよ。」

「はよー。」

教室に入って席について、乃々香と挨拶を交わす。



リュックから午前の教材を出して机に入れていると、英単の小テストについて思い出した。


確か今週から始まる筈…。



「英単の小テストって今週からっけ?」

自信が持てず、乃々香の椅子をトントンと叩き聞いてみた。


「そだよ。」

乃々香は振り返り、日にちが書いてある範囲表を見せてくれた。



「まじか。もう今から見ても無理だから諦めよ。」

「諦めるなよ!」

机に伏せる俺の頭を乃々香は叩いた。



渋々単語帳のテストの範囲である所を開き、文字をなぞる。


全然頭入ってこねぇわ。



「二人って仲良んだね。」

蛯原さんだ。


どうやら今のやりとりを見ていたようだ。



「俺と乃々香?」

「うん。春馬くんって女子と全然喋んないけど、乃々香ちゃんとはよく喋るよね。」

「まぁな、付き合い長いし。」

「それに、他の人は名前で呼ばないよね。」

蛯原さんは机に肘をついて両手で頬を包む。


一度単語帳から目を移したが、目を合わせる気にはなれなかった。



「……まぁ。」


「付き合ってるの?」

冗談っぽく笑いながら言うのに苛ついた。



「仲良いからってすぐそういうのやめろ。」

一向に頭に入ってこない単語帳を閉じて、蛯原さんの目を見た。


言い方がきつくなってしまった。



「あ、ごめんね。」

「別に、もういい。」


俺だってそうなればいいなとは思うけど、あの時気づけなかった俺が悪くて。



だけどこうして、また前みたいに戻れたんだからそれでいい。



何をする気にもなれず、HRが始まるまで机に伏せていた。