中学二年の秋口、俺は勉強や部活そっちのけでオカルトにはまっていた。

そのきっかけになったのが近所に住んでいた従姉妹で、この人と一緒にいたせいで何度かおかしな体験をした。

これはその中のひとつ。

夏休みも終わりひと月が経とうとしている頃だった。

俺は従姉妹に誘われ、家から一時間ほどの場所にあるケヤキの森に来ていた。

美人だが無口でオカルト好きな従姉妹は取っつきにくく、正直二人でいるのは苦手だったが、従姉妹が買ったバイクに乗せて貰えるので誘いにのった。

ケヤキの森は周辺では有名な心霊スポットで、曰わく今は使われていない製材所で夜毎手首を探す男が出る、曰わく森の中ほどに位置する沼には死体が幾つも沈んでいるといった調子で怪談にはことかかなかった。