そんで神社の裏手に回って、扉の前でしばらくドキドキして。

よーっし、と覚悟を決めて開けたら、そこは何か普通の部屋でさ、大人がひとり漫画読んでたの。

ボケ~っと見てたら、その大人の人が気付いてさ、何か「ヨッ」とか言って笑ったの。

ビックリしちゃって、何も言わずに閉めて逃げ出してさ。

でも気になるから、戻ってもう一度開けてみようと思ったら、扉がないのね。

あれ?間違えたかな?と思ってしばらく探してたんだけど、やっぱり扉はなくてさ。

何か夢でも見たような感じで、帰ろうとしたんだ。

そしたら男の子が出てきて、『見たなー食ってやる!』ってな具合にお約束だと進むんだろうけど、そんなことはなくてさ。

単純にガキだから帰り道がわかんなくなっちゃって、近所の商店街みたいなところで泣きそうになってたのね。

そしたら男の子が出てきて、何も言わずに家まで送ってってくれたの。

とまあこんな感じで、その後少しして引越ししちゃって、男の子とは会えなくなっちゃってさ。

手紙を書こうとはしたんだけど、親が知らないって言うから住所もわかんなくて、そのままそれっきり。

とまあ、ここまでが思い出した話でね。