大村と俺とは、先輩後輩ということとはあまり関係なく、仲が良かった。

お互いに相手のマンションの所在地を知っていたと書けば、どの程度の仲だったかは伝わるかなと思う。

3週間くらい前のあの日も、大村が会社帰りに俺の部屋に遊びに来ていた。

俺らは缶ビールを飲みながら、同僚の陰口ばかり叩いていた。

二人とも、酒を飲む時は会話だけを楽しみたいというタイプだったから、テレビも点けていなかったし、音楽を流したりもしていなかった。我ながら暗いとは思うけど。

その内、買い溜めてあったビールが尽きた。

俺はアルコールが無くても会話が楽しければ良いと思っていたんだけど、大村はそれじゃ駄目みたいだった。「すぐに買いに行こう」と言い出す。

渋々ながらも、大村を連れてマンションを出て、近所のスーパーに買い出しに行った。