その後、A子のところにハイド君から電話が1回だけあった。

夜中に。

怖くてとらないでいたらしいのだが、何分も何分も延々と着信が続き、恐ろしくてついに電源を落としたそうだ。

次の日の朝に電源を入れるとメールが届いていて、そこには「マタ遭おう2:30」と書いてあった。

そしてハイド君からの連絡は一切なくなった。

でも、話はまだ終わらない。

この騒動から1年かそこらが経ったある日に、A子がウチに転がり込んできて騒いだのだ。

なんと、バッグの中にあのメモがまた入っていたそうだ。俺も寒気を覚えた。

文面はほぼ同じで、「○○であなたを見かけて、気になったのでメモを入れた…」というものだった。

しかし今度は場所がレンタルビデオ屋ではなく、地下鉄の駅の名前。

紙は破いた手帳ノートみたいだった。

差出人は××大学の学生、自称ハイド似の20歳の男。

やっぱりあいつだと思う。

もちろんA子はこれに応えなかったし、幸いそのまま何もなく無事に終わってくれた。