小さな小さな力を集め、ぎゅうぎゅうになってここまで来たが親父は留守。

そして道ばたで力つきたのだった。

「これは?」

親父が桐の箱に気付いた。

「こんな物、あいつの家で見なかったが・・・」

親父が桐の箱を開けた。

「こいつは・・・凄いな・・・」

中には綺麗な石が入っていた。

何かの宝石の様だ。

自分達がお金にならない事を分っていたのか、喜一にはそれが引き取り金に見えた。

「はは・・・律儀なもんだな」

そう言うと親父は、一つ一つを磨きだした。

ガラクタの中には、何に使うのか分らないような古い道具まであった。

修理された跡があり、大切に使われていた事がわかる。

喜一は後悔した。

昼間の事を。

ガラクタを丁寧に磨く親父の背中を見て喜一は、物も人にも大切に接すれば、いつか自分にもこんな素敵な奇跡が起るだろうか?

そんな事を思いながら、親父と一緒に遅くまでガラクタ達を磨いたのだった。