「なら、私が遊んであげるから。

ね?山に行っちゃ駄目」

「えー・・・うん。わかった・・・」

元々一人遊びに飽きて山に入ろうと思い立ったので、女の子が遊んでくれると言うなら無理に行く必要もなかった。

その日から、俺とその女の子は毎日遊んだ。

いつも出会った山道のあたりで遊んでいたので、鬼ごっことか木登りとかがほとんどだった。

たまに女の子が、お手玉とかまりとかを持って来て俺に教え込んで遊んだ。

「健ちゃん、最近何して遊んでんだ?」

「山の近くで女の子と遊んでる」

「女の子?どこの子だ?」

「わかんない。着物着てるよ。

かわいいよ」

「どこの子だろうなあ・・・

名前はなんつうんだ?」
「・・・教えてくれない」

実際その子は、一度も名前を教えてくれなかった。

祖母も親も、その子がどこの子かわからないようだった。

とりあえず、村のどっかの家の子だろうと言っていた。