そして僕は考えた。


どこかの見知らぬ多数の命か


すぐそばの見知らぬ一つの命か

一番近くのよく知る命か。


進まなければ確実に死ぬ。


それは『3つ目』の選択になるんだろうか。


嫌だ。


何も分からないまま死にたくはない。


一つの命か多くの命か?


そんなものは、比べるまでもない。


寝袋の脇には、大振りの鉈があった。

僕は静かに鉈を手に取ると、ゆっくり振り上げ、動かない芋虫のような寝袋に向かって鉈を振り下ろした。

ぐちゃ。

鈍い音が、感覚が、伝わる。