そうやって順繰りに嘘は進み、最後の奴にバトンが回った。

そいつはちびり、とビールを舐めると申し訳なさそうにこう言った。

「俺はみんなみたいに器用に嘘はつけないから、1つ作り話をするよ」

「なんだよそれ。趣旨と違うじゃねえか」

「まあいいから聞けよ。退屈はさせないからさ」

そう言って姿勢を正した彼は『では』と呟いて話を始めた。