翌日の夜、従姉妹は寝る前から予感を抱いていた。

今日も夢であの女に会うのではないか。

それは殆ど確信に近かった。

そして、その通りになった。

夢の中で従姉妹は中学生になっていた。

記憶にある通り、吹奏楽部の練習に参加していた。

顧問のピアノに合わせて、トロンボーンを構えた。

深く息を吸い込んだまま、従姉妹は凍り付いた。

ピアノの前に座っていたのはあの女だった。

狂ったように鍵盤を叩き、顔だけは従姉妹を凝視していた。

女の顔ははっきり見て取れた。

異様に白い肌、細い目、高い鼻筋、真っ赤な口紅が塗られた唇を大きく広げニタニタ笑っていた。

そこから覗くのは八重歯で、口紅だろうか赤く染まっている。

不揃いな黒いロングヘアが女の動きに合わせ激しく揺れた。