中学三年の初夏、従姉妹は力無く抜け殻同然になっていた。

普段は俺が催促せずとも、心霊スポットや怪しげな場所に連れて行ってくれるのだが、その頃は頼んでも気のない返事をするだけだった。
 
俺が新しく仕入れて来た話も、おざなりに聞き流すばかり。

顔色は悪く、目の下には隈ができていた。ある日理由を訊ねた俺に、従姉妹はこんな話をしてくれた。

春頃から、従姉妹は頻繁にある夢を見るようになった。

それは夢というより記憶で、幼い頃の従姉妹が、その当時よく通っていた公園の砂場
でひとり遊ぶ光景を見るのだった。

やがて何度も夢を見るうちにひとりではないことに気づいた。

砂場から目線を上げると、そこに女が立っている。

淡いピンクの服を着た、黒いロングヘアの女が従姉妹を見つめ立っていた。 

女に気づいた次の夜、夢は舞台を変えた。