もう従姉妹と俺の家の分かれ道まで来ていた。

「今も聞こえるの?」

俺は聞いた。

「ずっと聞こえてる。最近では耳を塞がなくても聞こえるようになったよ。

だからこうして、偶に誰かに話して聞かせるの。そうしないと頭が声で溢れ返るから」

従姉妹はそう話し終えると「またね」と言って帰って行った。

いつの間にか辺りには暗闇が迫っており、道沿いの家からは夕飯の匂いが漂い始めていた。